
こんにちは、鳴海慎吾です。
本日はサウナの起源や歴史についての記事を書きました!
サウナと聞くと、高温の室内でじっくり体を温め、水風呂でクールダウンしてリフレッシュする光景をイメージする方が多いでしょう。しかし、その歴史や世界的な広がりを改めて振り返ってみると、サウナは文化や社会の変化と深く結びついて発展してきたという奥行きを持っています。
さらに近年の日本では「サ道」の流行などからブームが再熱し、若者から幅広い世代までに親しまれる存在になりました。本記事では、サウナの起源から世界への普及、そして日本における歴史的なブームやサ道の影響まで、順を追って詳しく掘り下げていきます。
サウナの起源:フィンランドに始まる長い歴史

フィンランド誕生説と古代の生活文化
サウナのルーツとして知られるのが、古くから寒冷地で生きる人々を支えてきたフィンランドの伝統です。厳しい冬を乗り越えるための暖房手段であり、体と心を温める生活習慣として生まれたと言われています。はじめは土を掘った簡易的な構造の蒸し風呂から発展し、木造小屋で熱した石に水をかけて蒸気を発生(ロウリュ)させるスタイルへと進化しました。長い歴史の中で培われたこの技術と習慣が、やがて世界各国へ波及していくことになります。
社交・儀式の場としてのサウナ
フィンランドにおいてサウナは、ただ汗を流すだけの場所ではありません。家族や友人との語らいの中心であり、場合によっては出産や治療に関わる場としても利用されてきました。体を温めることで血行を促し、寒さと戦う上で欠かせない空間でありながら、コミュニティを強固にする社交的な役割をも果たしてきたのです。
世界へ広がるサウナ文化:オリンピックがもたらした熱い波
1936年ベルリン大会がもたらした注目
サウナが世界的に注目を浴びるきっかけの一つが、1936年のベルリンオリンピックだとされています。フィンランド代表団が自国の文化としてサウナを取り入れ、そのリラックス効果やリカバリーへの貢献ぶりが各国の選手や関係者にも伝わったのです。
1964年東京オリンピックとサウナの国際普及
オリンピックとサウナの関係において、さらに大きなターニングポイントとなったのが1964年の東京オリンピックです。フィンランド選手団が選手村にサウナを設置し、その結果を受けて「競技前後に体を整える手段としてサウナが有効だ」という考えが広まりました。これが世界各国へ一気に波及し、各地の温浴施設でサウナを導入する動きが広がる大きなきっかけとなったのです。
世界に広がるサウナ文化~多様な形態と進化
サウナ文化はヨーロッパをはじめ、ロシアのバニヤやトルコのハマムといった蒸し風呂文化とも融合を見せました。ドイツのサウナマイスターによるアウフグースのように、各地の特徴を取り入れる形で新たなスタイルが生まれています。このようにサウナは世界各地でその土地の習慣や嗜好に合わせて進化しており、現在では多種多様な入り方が存在します。
フィンランドサウナ:伝統を受け継ぐ熱と静寂
サウナの本場でもあるフィンランドでは日常生活において非常に重要で、家庭や公共の場に広く存在しており、毎週利用していると言われています。フィンランド式サウナは、は低湿度で高温度(70〜90度程度)を特徴としています。この環境が、体をしっかり温め、発汗を促進します。サウナから出た後に氷水に入ることが一般的で、これが交互に繰り返されることで身体への効果が増すとされています。
サウナ室は木造で、定期的に熱した石に水をかけて蒸気を発生(ロウリュ)させ、湿度を上げるというのも特徴です。
静寂の中で熱と向き合う時間は、精神的な鍛錬にも繋がるといわれています。
宮崎県の小林にある「すきむらんど温泉 かじかの湯」は九州で最初のフィンランド式サウナが設置されており、セルフロウリュを楽しむ事ができます。
ロシア式サウナ:熱気と蒸気で心身を解きほぐす

ロシア式サウナは、バニヤ(バーニャ)と呼ばれる施設で、温度はフィンランドサウナよりも低く約60~70度程度で、高温の蒸気と湿度を楽しむのが特徴です。サウナ室では白樺の枝(ビィヒタ)で体を叩く「ベニシング」と呼ばれる行為が行われ、血行促進効果を高めます。
トルコ式サウナ:ハマムで味わう温熱療法
トルコ式サウナは、ハマムと呼ばれる施設で、蒸気浴と温水浴を組み合わせた温熱療法です。石造りのサウナ室で蒸気を浴び、通常、サウナと同様に、マッサージやスクラブなども提供され、リラックス効果があります。内部が大理石など贅沢な装飾が施されているのも特徴です。
ドイツ式サウナの特徴
ドイツはサウナ大国として知られており、フィンランドと並ぶほどサウナが生活に根付いています。ドイツのサウナは、フィンランド式と同様に木製のサウナが一般的で、温度は80~100℃、湿度は10~20%と高温低湿に設定されています。
熱した石に水をかけるロウリュは、フィンランド式と同様に行われますが、ドイツ式ではサウナマイスターと呼ばれる専門スタッフが担当します。さらに、タオルで熱風を仰ぐアウフグースもサウナマイスターが行い、香り豊かなアロマを室内に拡散させるのも特徴です。サウナマットやタオルを敷いて座り、汗を床に垂らさないようにするのがマ
日本のサウナ史:三つのブームとサ道の影響
日本でもサウナは独自の進化を遂げ、複数回のブームを経て広く定着しています。そして近年は「サ道」という言葉を取り巻く映像化やSNS拡散なども加わり、さらに活気づいています。
第一次ブーム(1960年代)
1964年の東京オリンピック後、本格的なサウナ施設が徐々に日本へ浸透していきました。フィンランド大使館からの情報提供やバックアップもあり、日本独自の設備を整えたサウナ専門店が誕生。銭湯や温泉施設の一角にもサウナが設置され始めた時期であり、多くの人が「高温にじっくり浸り、水を浴びる」という楽しみ方を知るようになります。
第二次ブーム(1990年代)
1990年代に入ると、大規模なスーパー銭湯や複合型温浴施設が次々とオープンし、その中でサウナが改めて注目を集めました。単にお湯に浸かるだけではなく、「サウナ→水風呂→休憩」というセットを重視した新しい入浴スタイルが定着し始めたのもこの頃です。従来のイメージとは異なる、遊びやリラクゼーションを兼ね備えた空間が整い、幅広い層が体験しやすくなっていきました。
第三次ブーム(2010年代~20年代)と「サ道」
そして現在に至る第三次ブームの背景には、メディアやSNSなどの情報発信源が大きく影響しています。
- 漫画やエッセイで人気を博した「サ道」などがきっかけでサウナブームが再加熱、サウナの正しい入り方や「ととのう」感覚の魅力が強調されるようになった。
- テレビドラマ化やネット動画配信などを通じて、多くの若者や女性層の関心を集める一助となった。
- SNSやYouTubeで有名人やインフルエンサーが熱心にサウナを紹介し、リアルな感想や施設レポートが一気に拡散された。
こうした動きが重なり合って、サウナは「体に良い」「奥深いリラクゼーション」という側面だけでなく、「仲間やコミュニティと語り合う場所」や「自分をリセットする場所」としても認知されるようになっています。
「サ道」が広めた新たなサウナの価値観
「サ道」は漫画家・タナカカツキ氏によるサウナ体験を描いたエッセイ&漫画作品で、2011年に書籍化。2019年にはテレビ東京でドラマ化され、これが特に若年層を中心にサウナ人気を一気に拡大させるきっかけとなりました。
サ道がもたらした影響
- それまで「サウナ=中高年男性のもの」というイメージが強かった日本サウナのイメージを、「サ道」によって若者や女性にもサウナ文化が広がり、サウナ利用者の層が大きく拡大しました
- 「ととのう」という独特の言葉が脚光を浴び、SNSなどでもその感覚が共有され、ブームに拍車をかけた。
- この「ととのう」体験を求めてサウナに通う人が増え、SNSなどでも体験が共有されることで、さらにブームが拡大しました
- 施設側も利用者の満足を高めるべく、アロマロウリュやこだわりの水風呂など、快適な設備投資に積極的になり、日本のサウナ環境は大きく発展。
サウナブームは終焉なのか?
近年のサウナ人気はテレビやSNSでも広く取り上げられ、「サ道」をはじめとするカルチャーの盛り上がりも続いているように見えます。しかしここ一方で、「過当競争」「閉店増加」「燃料費高騰」「モラル低下」といったネガティブな話題や“サウナブーム終焉”を報じるニュースも目立つようになっています。果たしてサウナブームは本当に終わりに向かっているのでしょうか?
サウナブームに陰りが見え始めているようだ。
新規出店は相次いでいるものの、過当競争に耐えきれず閉店を余儀なくされるケースが目立ち始めてきた。ブームに便乗して開業したものの客が集まらずに短期間で閉業したり、老舗店でも新規客がかつての常連客を押し出したため、客が戻らずに四苦八苦するといった事例もあり、業界全体の縮小化も懸念されている。一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所の2023年度の調査では、サウナ人口は1779万人で、最多だった19年度の2824万人から37%ほど減っている。コロナが明けて復調傾向にあるとはいえ、実はサウナ人口は減っているのだ。
週プレニュースから引用
たしかに、急速なサウナブームによる新規施設の乱立や人件費・燃料費高騰、モラル・サービスの低下など、業界全体が一度“リセット”される局面に来ているのは事実です。しかし、これは「一過性のトレンドが終わる」というより、“サウナ文化が本質的なファンに根付いていく過渡期”とも言えるでしょう。
また、サウナがもたらす「リラックス効果」、「健康増進」、「コミュニティとしての魅力」は揺るぎないもの。しっかりと設備投資やサービスの質の向上に取り組む施設や、“ととのう”感を追求する人々は今後も増加していくと考えられます。
ブームに飛び乗っただけの店舗が淘汰される反面、本当にサウナの魅力を発信し続ける場所は支持されているのが現状とも言えるでしょう。ブームが落ち着き“定着”へと移行しているとも考えられ、今後はよりクオリティの高い施設(料金やブランディング力といった意味ではなく)づくりや利用者のマナー啓発が進むことで、“サウナ文化”はさらに深く成熟していくはずです。したがって、サウナブームそのものが終焉を迎えるというよりも、これからは「本当に求められるサウナ」が選ばれていく段階に入っていると言えるでしょう。
つまり、一時的なブームの落ち着きはあっても、「サウナ文化」は終わることなく、より深く、日本の暮らしに根ざしていくと考えます。今こそ、自分にとって本当に心地よい“サウナとの付き合い方”を見直す好機なのかもしれません。
まとめ
サウナはフィンランドの厳しい寒さを生き抜く生活文化として誕生し、オリンピックを経由して世界中へ広まりました。日本においては1960年代の第一次ブーム、1990年代の第二次ブームを経て、2010年代以降の第三次ブームではメディアやSNS、「サ道」などの影響で支持層が拡大。
一昔前のイメージとは異なる、若者や女性にも馴染みやすいリラクゼーションとして進化してきています。現在もなお、多種多様な施設や入浴スタイルが生まれ続けており、サウナは日本独自の発展を続ける奥深い文化へと変貌を遂げているのです。